モノノフからDDへ

ももクロ一筋だったモノノフがDD化していく軌跡を綴ったブログ

さくら学院の一期一会性を楽曲とコリオグラフィの点から考えてみる

本記事は、さくら学院父兄(ファン)の皆様にとっては「なにを今更」という内容となっておりますので、スルーか、生暖かい目で見守る方向でお願いします。

さくら学院のライブの一期一会性について前回の記事で書きました。

その際にも書きましたが、他のアイドルやアイドル以外のライブでも一期一会性というのは当然あるわけで、なぜにそこまで私がさくら学院の一期一会性にこだわるのか。

ひとつは、さくら学院が内包するその制度ですね。これについては前回ある程度書きましたが、より補強する形でいえば、彼女たちの「成長期限定ユニット」という在り方は、ある意味でアイドルという存在自体の縮図というか凝縮された形であると思うわけです。

そもそもが女性アイドルという存在自体が賞味期限(という言い方もどうかとは思いますが)がある存在です。卒業・解散といった形でグループとしての存在は失われていきますし、単独としてもいつかは女優やアーティストなどに変身していってしまいます。
アイドルとして活躍する時間はそれぞれに別々ですが、さくら学院の場合、「同じメンバー」という前提で考えると、一年間しか与えられていないわけです。しかもそれが最初からわかっている。

その在り方自体が彼女たちのライブの希少性を高め、同時にまた質を高めているのだと思います。

しかし、さくら学院の一期一会性はそれだけではありません。
それをさらに高めているのがその楽曲とコリオグラフィだと思うわけです。

スーパーレディを目指して切磋琢磨する成長期限定ユニットである彼女たちの楽曲の多くは、それ自体をテーマにした曲が数多くあります。

一生 笑いあって 刺激しあって 重ねたい友情ミルフィー
世界中に虹色のハーモニー
バイバイ 悔しくって涙流した不器用な私に今は泣かないで言えるよ
「じゃあ、また明日」


未完成シルエット - さくら学院 - 歌詞 : 歌ネットより

学院の仲間との「競い合い」と「助け合い」、そしてまだ見ぬスパーレディとになるための自分への誓い、そうしたテーマがいくつもの言葉で歌われています。

溢れ出した想いをぎゅっと握って現在(いま)を進むんだ
果てしなく広がる世界へ続くよ
夢は明日(あした)の自分に届けに行くよ 待っててね
叶うまで大切に育てていくんだ


Jump Up 〜ちいさな勇気〜 - さくら学院 - 歌詞 : 歌ネットより

 さくら学院というグループで歌われるこその仲間との絆、そして小中学生である彼女たちが将来の自分を夢見て誓う歌詞は、それだけでも「今」の彼女たちが歌うからこその良さがあり、よりメッセージ性が強まります。

楽曲自身の良さもさることながら、その歌詞に込められたメッセージ性というのは、今の彼女たち自身が歌うことで、最大の威力を発揮するといっていいでしょう。

また、パート割りも非常に重要で、歌詞だけを見ていると一人の視点人物によるものだと思われるものが、パートを区切って二人三人で掛け合いで歌うことで、それが互いに向けられた言葉として歌われることで、よりテーマが明確となり、メッセージ性が強まることなどがあります。こうした演出ははグループでしかできない。

そして、さらに楽曲の一期一会性を強化しているのがコリオグラフィです。
とはいえ、ここでいう「コリオグラフィ」とは、純粋な意味での振り付けという意味合いよりも、フォーメーション的な意味においてになります。
コリオグラファーであるMIKIKO先生*1は、いわゆる振り付けのひとつひとつに歌詞の意味を持たせるので、それ自身がより楽曲、特に歌詞を強調すすることはもちろんですが、その一期一会性を最大限に活かしたフォーメーションを組んできます。
同学年、先輩後輩、そうした組み合わせ自体で、歌詞の持つメッセージ性を高める、それがとても素晴らしい。

歌詞とコリオグラフィによるテーマ、およびメッセージ性の最大化、その究極ともいえる形が、『負けるな!青春ヒザコゾウ』という曲だと個人的には思います。

成長期のオスグッドをメタファーとして、人は成長する時に痛みを伴うこと、そして時には背伸びしてでも上を見ることの大切さ、そして最後には「大きくなってみせる」という誓いをこの曲は歌っています。

ここでMIKIKO先生が導入するのが「背比べ」というコリオグラフィです。
イントロで背の順に並ぶさくら学院の生徒。まずこれが凄い。小中学生である彼女たち、まさに成長期であり、中には一年間で身長がぐっと伸びる子もいます。そうなると当然、この順番も変わってくるのです。
毎回フォーメーションを変える、と決まっている曲とかではなく、自然現象として、計算できないものをフォーメーションに導入し、しかもそのことに大きな意味がある。これは本当に凄いな、と。
そして、曲中でもそこかしこで背比べが行われます。それどころか組体操までやっちゃう。

同学年、先輩後輩という関係性は、さくら学院のことをある程度わかっていなければ読み解けないものですが、「身長」というものは見ればわかるものです。その明示性が素晴らしい。
「(身体的にも人間的にも))大きくなりたい」という、この曲のテーマが見事に表現されているだけでなく、それが彼女たち自身の身体的な成長によりコリオグラフィが変化する。
これ以上の一期一会性はなかなかお目にかかれないと思います。

この流れのまま、さくら学院の誇る名曲中の名曲『FRIENDS』についても語ろうかと思っていたのですが、思った以上に長くなってしまったので、それは次回にまわすことにします。

まあつまりなにが言いたいのかっていうと、「今」のさくら学院を見ることができるのは、嘘偽りなく本当に「今」だけ、なのです、ということです。
ということで明日は『FRIENDS』の話をしましょうかね。

 

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さくら学院

*1:PerfumeやBABYMETALのコリオグラフィも担当している